研究概要 |
極めて高靱性(K_<IC>で9.1MPa・m^<1/2>の値)を持つ窒化珪素をセラミックス工具材として用い,これに切れ刃近傍に発生する引っ張り応力を出来る限り抑えたようなオリジナル形状のエンドミルを設計し,鋳鉄材料の超高速加工(切削速度で1,000m/minを越える速度)に適用した.そして,通常工具寿命が短くなると言われている領域で,どのような理由で工具寿命が延長されるのかこの原因について検討した結果, (1)極めて負角のラジアルレ-キ角を持つオリジナル工具は超高速条件下で刃先のチッピングを回避するのに効果を示し,安定した工具摩耗曲線を形成する. (2)刃先をボール形状とした工具による耐摩耗試験より切削速度を1500m/minと高速化した方が400m/min時の切削速度に比し約15倍の寿命延長が見られ,この寿命延長化には摩擦面に生成する珪素とマンガンの酸化物により工具-被削材間の直接接触が妨げられている. (3)軸方向ねじれ角は強ねじれとした方が切り屑ずまりが発生せず,仕上面表層に生成される加工変質層については高速切削条件ほどまた,工具ねじれ角を大きくする方が小さくなる傾向を示す. (4)模擬モデル実験を行い工具内応力分布を算出するための基礎データを測定し,このデータを基に工具内部に働く最大主応力分布を算出,そして,本セラミック材料が持つ許容応力の70%設定より最適刃物角を設計する. (5)超高速条件下で刃先ボール部を使用して切削を行う場合チッピングを回避する必要があり,これの効果には切れ刃各部(切れ刃の各位置により切削速度が異なる)の刃物角の最適化を図る必要がある. (6)刃先ボール部にはセラミックス工具が不得意とする低速度部が存在しこれを中心部に行くにしたがって刃物角を大きくする設計により,チッピングを回避し,セラミックエンドミルに本来が持つ耐摩耗性を発揮させることに成功する. (7)実際の金型材へとこのエンドミルを適用することにより能率は4倍となる.などを明かとした.
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