研究概要 |
クリープフィード研削では、研削焼けや研削割れなどの熱的損傷が発生しやすい.本研究では,工作物をテーブル送り方向に微小振動させることによって,砥石作用面に適度の自生作用を促し,かつ接触弧内部へ研削油剤を確実に供給させ,研削焼けなどの熱的損傷を防止することができると考え,振動クリープフィード研削を試みた.すなわち高速度工具鋼SKH4,ステンレス鋼SUS304ならびにアルミナセラミックスを工作物とし,一般砥石で振動クリープフィード平面研削を行い,工作物の送りに微小振動を加える効果を実験的に調べた結果,次のことが明らかとなった.(1)工作物SKH4をクリープフィード平面研削する場合,工作物の送りに微小振動を加えることによって,研削動力は小さくなり,研削焼けが防止できる。さらに,WA砥石による研削では,砥石の半径方向の減耗量は,かなり小さくなる.(2)工作物の送りに振動を加える場合,下向き研削では,全振幅の増加につれ,砥石と工作物との接触弧内部における研削油剤の供給量は多くなり,研削焼け防止に効果がある。しかし,上向き研削では全振幅を大きくしても供給量は増加せず,研削焼け防止にほとんど効果がない.(3)除去率一定とし,振動クリーブフィード研削を行った場合,砥石切込み深さが大きくなるほど,垂直方向の研削抵抗の最大値および砥石の半径方向減耗量は大きくなる.(4)振動クリープフィード研削時の工作物の送りの最大値とテーブル送り速度との関係は,両対数グラフ上で直線となり,その傾きは,工作物の振動数や全振幅によらず一定である.(5)振動クリープフィード研削時の研削抵抗とテーブル送り速度との関係は,両対数グラフ上で直線となる.(6)アルミナセラミックスをGC120H7V砥石で,クリープフィード平面研削した場合,工作物を振動させない場合に比べ良好な研削仕上げ面が得られる。
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