研究概要 |
形状モデリングシステムにおいて,計算機誤差によるモデリングの不安定さを解消し,頑強なシステムとするため,まず,面ベースデータ構造を導入して多面体に対するアルゴリズムを確立し,これを曲面立体に拡張した. 多面体に関して開発したアルゴリズムでは,幾何と位相で矛盾した判定が行われるのは点,線,面などの幾何要素が近接し退化したケースで起こりやすいと考え,この一致判定を平面方程式よりなる行列式を用いて得られる四面体の最小高さを評価基準として判定した.これを組み合わせることにより,頂点,稜線,面同士の一致パタンの判定法を導いた.頂点一致部では,交差する面分に対するセクタテストを実施して次の干渉線を求め,大域的情報より立体間の干渉処理(集合演算,フィーチャ演算)により位相情報を決定した.この結果,4面以上の面が集まる頂点部での誤差による曖昧形状について,誤差の累積を押さえ位相的な整合性を管理するため,微小面を作らない木構造として局所位相構造を決定するアルゴリズムを開発した. 曲面立体では,四面体の最小高さを行列式で計算できず,3面でできる交点より第4面に垂線を下ろしこの距離で判定することや,面同士が接触したり交線が境界線と接する場合を考慮することが必要となる.このため,3面交点計算,点より面への垂線計算,面間の距離が極値となる点の計算,交線と境界線との距離が極値となる点の計算のアルゴリズムを開発し,これらを組み合わせることにより退化のケースの判定法を導いた.退化の場合には,誤差のため干渉線が閉じたループとならないことが発生し,この検出と接続法を検討した.また,干渉計算結果で誤差により曖昧となる領域については,多面体の場合と同様に局所位相構造を決定する方法を示した.今後は,これらのアルゴリズムに基づいてシステムを作成し,頑強性の確認を実施していく.
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