研究概要 |
アブレシブジェットは高速の水噴流中に固体粒子を混入させることで高い壊食能力を得る技術であるが、その高い壊食能力は微細な固体粒子である砥粒の壊食面への衝突に起因することが最近の研究で明らかになった.そこで高速水噴流を作り出すための規模の大きな装置の代わりに,まず設備が簡単ですむ超音速空気噴流を作っておき,それに固体粒子を混入させるシステムの構築を試みた. 1.超音速ノズル・設計および製作 超音波空気噴流中に固体粒子を効率的に混入することができるノズル形状の研究の結果,超音速ノズルであるラバルノズルの膨張比を慎重に選び,ノズル出口の圧力が周囲圧よりもわずかに低い程度の不足膨張の状態におけば、通常の水噴流を用いたアブレシブジェットにおいて一般的である噴流膨張後の負圧を利用して側方から固体粒子を吸い込み混合させる形式ノズルが有効であることが明らかとなった. 2.混入固体粒子の種類に関する研究 固体粒子としての氷の粒子を用いることの可能性が調べられた,噴流中に水を混合し,雰囲気を冷却して,水滴を飛行中に氷粒に変え,高い壊食能力を得るシステムの実現可能性が調べられた.その結果,期待する壊食能力を得るために必要な高い速度の噴流を用いた場合,水が氷への相変化に要する時間が長過ぎるため,氷粒が形成される位置がノズルから離れ過ぎるということが判明した.今後,別のシステムが考案される必要がある. 3.気液混相ジェットによる加工の機構の解明 シュリーレン写真による光学計測を行い,超音速空気噴流の構造が研究された.適正膨張付近で超音速を保った部分が最も長くなる結果は予想された通りであったが,固体粒子の効率的な吸入のためわずかに不足膨張におかれた場合にも超音速領域の長さには変化が少なく,固体粒子を効率的に吸入し且つ超音速領域が長く保たれた固体粒子が加速されるという好ましい状態が存在していることが示された.
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