研究概要 |
磁性流体のアクチュエータやダンパへの応用を目的として磁性流体の管内振動特性,磁性流体プラグの振動特性について基礎研究を行い,微粒子の凝集が管内流動抵抗の増大をもたらすことをこれまでに明らかにしてきた。 本研究では,磁性流体薄膜を用いて,微粒子の凝集機構を詳細にしらべ,この結果を基に円管内の磁性流体振動流に及ぼす磁性体微粒子の凝集効果に関して以下のことを明らかにした。 非一様垂直磁場下で生じる微粒子の濃度分布を求めてこれと,質量濃度を種々に変えた場合にえられた磁性流体の磁化特性を基に,磁性流体内の磁気力を求めた。その結果,非一様垂直磁場下では,磁極近くで,求めた磁気力と,微粒子が一様に分散していると仮定した場合の磁気力との間に大きい差が生じることが明らかになった。これから,濃度分布による磁気力が管内振動流特性に大きな影響を与えることが予想された。よって,次に,磁性流体の質量濃度を種々に変えた場合のU字管内の磁性流体振動流特性を求めた結果,濃度の変化が振動流特性に大きく関与し,最大振幅の変化については,最適な濃度分布と磁性流体の質量が存在することを明らかにした。 磁性流体プラグ上面の初期設定位置が振動特性に影響を与えることは既に明らかにしているので、次にU字管の一方に封入した磁性流体プラグの上面と,他方に封入した非磁性流体上面との差について測定した結果,濃度分布がこの差を大きく変えることが分かった。 次に,一様垂直磁場の部分を含めた,プラグ長さ方向に前回よりひろい範囲で磁場を印加した場合について上記の場合と同様の実験を行った。その結果,質量濃度の低い磁性流体の場合には,プラグの振動がほとんど誘起れないのに対して,濃度が高い場合には振動運動が生じることが分かった。 さらに、磁性流体を封入したシリンダ内にピストンを挿入し、シリンダとパネ-マス系を構成して連結させた磁性流体粘性ダンパの振動特性に関して実験を行った。また、解析としてはシリンダ・ピストンの間隙内の流れに無限長の二重円管内の流れを仮定しピストンの振動特性を求め、実験結果と比較した。その結果、磁場下では磁性流体のみかけの粘度増加によりピストンの振幅が無磁場下の場合に比較し減少することを明らかにした。
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