研究概要 |
翼の負圧面の曲面上に流れの方向に溝を付けることによる抗力減少の効果を調べた.翼型模型は黄銅製で弦長200mm,NACA 65系,最大厚さ10%,最大矢高4.3%,負圧面が(20〜100)%にわたり円弧状になっている.実験には低温変圧風洞を使用した.はじめにこの翼型を表面が滑めらかに削られた状態で実験を行った.すなわち,この模型を風洞測定部に設置し,3×10^5【less than or equal】Re【less than or equal】4×10^7の範囲について迎え角を-6゚〜12゚の範囲に変えて翼負圧面上の圧力分布及び熱線流速計による表面の流速測定を行った.次に分担者の一人の長田が数値制御フライス盤を使って負圧表面上に流れの方向に深さ〜15μm,間隔〜30μmのV型の溝を付けた.この翼を使って上に述べたと同じ実験を行い,表面に溝を付けたことによる翼面の場・坑力の変化を調べ その結果,翼表面にこのような溝を付けると迎え角-6゚〜10゚の範囲で翼負圧面について形状抗力が抗力係数にして最大0.025減少することがわかった.この原因について圧力分布から考察するとV型の溝が削られていない翼の前縁部の表面圧力が降下することによるもので,この負圧の増大により揚力もまた増大することになった. 著者らはさきに円柱表面に流れの方向にV型の溝を削った時その形状が適当なとき円柱の抗力の減少が得られ,その原因には側面に沿って層流境界層が長く保たれる場合と,表面の流れのはく離が遅れる場合の2種の場合があることを示したがこの場合は前者の理由によることがわかった.
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