| 研究概要 |
本研究は,壁面噴流を基本流として,この流れに対するリブレットによる摩擦抵抗減少効果を調べ,これを乱流構造との関連で明らかにしようとするものである。これまでに,平均速度に基づく方法で表面摩擦を評価し,抵抗減少の程度を明らかにしている。
当該研究期間で得られた主な研究成果は以下の通りである。
1.より大きな寸法のリブレット面を製作し,これについて平均速度から表面摩擦を見積もったところ,従来の無次元リブレット幅より大きなところで,これまでよりさらに大きな抵抗減少が認められた。
2.リブレットによる抵抗減少が生じているところでは,壁近くの変動速度の確率密度はより正規分布に近い形状をとる。また,乱れエネルギ生成は相対的に減少し,乱れの小スケール成分は相対的に増大する。
3.VITA法による解析から,壁面噴流でもバースト波形が観察されたが,乱流境界層より時間スケールが10倍ほど長い。4象限分割法の結果は,リブレットによるレイノルズ応力発生機構の弱体化を示した。
4.乱れの相関長さは,リブレットによってx,z方向に増加する。リブレット面上の壁近くの横方向積分特性距離は滑面上より大きく,大渦の横方向尺度が大きい。
5.壁面噴流の横スペクトルは,内層では波長の増加とともに単調に増加する。これは境界層的な流れの乱流構造との相違を示すものであり,このような構造の相違が最大の抵抗減少を生じるリブレット寸法の違いをもたらしている。
6.滑面上の壁面噴流の表面摩擦の直接測定結果は従来の諸家の間接測定の値のばらつきの範囲内にあり,信頼性のある測定値が得られた。
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