研究概要 |
平成6年度の研究は年度当初の研究計画に基づき遂行された。以下に研究の進展状況を纏める。 (A)モデルの構築と物質や熱の拡散場のシミュレーション まず、円筒座標系で成分表示された具体的な一般化ランジュバン方程式を導出した。方程式中の係数は速度場の2次のオーダのモーメントまでの一貫性の条件(Consistensy Condition)に基づき決定されるが、この条件の検証は一様に分布した多数の流体粒子の追跡計算により行われた。また分子拡散効果を陽に含んだモデルを使用して、高分子シュミット数物質のパフの長時間拡散状態を計算し、以下の様な結論を得た。 (1)速度場の検証では、本モデルが与えられた2次モーメントまでのデータの分布をよく再現し、かつ定常であることが確認された。 (2)計算されたパフの長時間拡散場は理論及び実験とよく一致した。 (3)計算で得られた縦方向拡散係数が、与えられた平均速度分布より求めた縦方向拡散係数と一致するようにモデル定数(コルモゴロフ定数C_0)を定め、C_0=1.9を得た。 尚、年度当初計画された高分子シュミット数物質の壁面連続点源プルーム拡散場と分子プラントル数0.7の熱の拡散場の計算については、境界条件の検討とともに現在研究が進行中である。 (B)固体粒子分散について 粒子の慣性力、粘性力、圧力、浮力及び履歴効果などについて、これまでに提案されている粒子速度を支配する運動方程式のモデル化について調査、検討した。その結果、Hunt J.C.R.& Nalpanis, P.(1985, Proc. of Int. Workshop on the Physics of Blown Sand, ed. by Barndorff-Nielsen et al., 9-35)によって提案されたモデルが有力であることがわかり、現在本確率過程モデルへの組み入れの可能性を検討中である。
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