研究概要 |
一様流中にある角柱まわりの流れについて,渦点法に基づく数値シミュレーションを,臨界形状近傍について,完全剥離流れから周期的再付着流れへの吸い込みによる制御を中心に実施した.この知見に基づき,前縁に吸込を与えることができる角柱を製作し,吸込速度とその時間間隔を制御できる装置を開発した.これを用いた実験と数値シミュレーションで得られた結果を以下に述べる. 1.数値シミュレーション及び実験では,臨界形状角柱は,辺長比が小さい完全剥離形の変動とこれより辺長比が大きい周期的再付着形の変動が重畳された形での変動が発生する. 2.前縁での単一の吸込制御に対して,数値シミュレーションでは,剥離せん断層が角柱から離れ始める位相で,完全剥離型の変動周期の1/30程度の吸い込み時間,一様流の流速の0.4〜0.7倍程度の吸い込み速度を与えたとき,周期的再付着型へ移行し,その後,しばらくして元の臨界形状の流れに戻ること,吸い込みを与える幅は,前面高さの0.5倍程度が適当であることが確認された.この制御は,数値シミュレーションでの臨界形状である辺長比4.0に対して3.6まで可能であった. 3.実験において,臨界形状の辺長比は低レイノルズ数で2.7,高レイノルズ数で2.3程度であったが,吸込制御に関しては,吸い込み速度が一様流流速の0.7〜1.0倍とやや高く,吸い込み時間が0.1〜0.4倍とやや長くこの間では時間によらないこと,吸い込み幅は,前面高さの0.2倍以下が適当であるなど,数値シミュレーションとは定量的にやや異なるものの,定性的にはほぼ似通った結論が得られた. 4.吸い込みを与えて後,遅れて移行する場合があるなど今後検討すべき課題が残っている.
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