スパイラル空気流を用いると、通信線管路診断用センサプローブを、長距離にわたり、しかも、安定した状態で送通することが可能であるこが判明した。 プローブの安定には、プローブ後流に出来る渦、管内流とプローブの隙間に出来る環状流の安定性、プローブ入口と出口の圧力分布が主に影響を与える。安定させるためには、小さなプローブ後流の渦、環状流の半径方向の低い乱れ成分、プローブ入口と出口の圧力分布の対称性が要求される。 これ等の条件を満たすべく、プローブ形状を流線型にし、ウエイクによるプローブ後部の圧力分布の影響を小さくした。また、スパイラル流を用いたことによりプローブ前後の圧力分布の非対称性を抑え、環状流の安定化をはかった。その結果、プローブは非常に安定した挙動をした。 これは、急峻な軸速度分布を持ったスパイラル流が、プローブを流路軸を中心として回転させ、ウエイクの不安定な挙動を安定させたことによる。スパイラル流中では、ウエイクは管路軸を中心に回転し、さらには、ウエイク(馬蹄形渦)のテイルは管路軸方向に位置決めされた。これは、またスパイラル流の急峻な軸速度分布を持続させることになる。この相互作用は、まさに、スパイラル空気流とセンサプローブの協同現象といえる。 さらに、実用化に向かって、センサープローブを牽引するパラシュートの安定性についても検討した。速度変動の少ない急峻な速度分布を持つスパイラル流は、パラシュートを安定的にインフレートし、センサープローブの長距離安定送通を可能にした。 この原因を明らかにするため、通常噴流とスパイラル噴流の安定性の比較実験を行った。その結果、スパイラル噴流の高安定性は、急峻な軸速度分布に支えられる半径方向のより小さい微小擾乱が安定性に寄与しているという新しい現象を捉えることができた。これらを近似解析により補完した。
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