研究概要 |
本研究は多数の混雑した粒体を運動状態で高速に計数できる画像解析システムの開発を目的として行われた.粒子計測では粒子の寸法,面積,形状や計数などのために画像の二値化が行われる点に着目して,二値画像の高速パターンマッチング法として開発された二値画像相関法を利用している.本研究の手法は動画像解析の概念に基づいている.すなわち,重なって見える粒子でも速度の異なるものは分離できる.また,運動を追跡する途中で分離状態を検出できる可能性も生かす手法である.粒子追跡法(PTV)はこのような手法に適しており,粒子の重なりが少ない状態なら,既存のPTVによって数百個の粒子の個数と速度ベクトルを数秒間で計測できる.本研究は上述の考え方に基づいて,粒子密度が高い場合にも計測できる解析ソフトウェアの開発を目的として行われた. 粒子の運動速度ベクトルの計測には,粒子クラスター(少数の粒子のグループ)の分布パターンを手がかりにして粒子を識別する複数の重複粒子像が少なからず含まれている場合は,画素単位で対応付けの探索を行う.さらに,対応付けの検出の効率向上も図って,個々の粒子が分離していることを前提とした従来の二値画像相関法PTVよりも識別能力の優れた解析コードを開発できた.しかしながら,(1)高速解析に付いてはさらなる改良が必要であり,まだ,十分な実験解析例を蓄積できて居ないなどの点については,今後の課題としたい.
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