| 研究概要 |
本研究では,渦核中を伝播する火炎の特性及び渦核が伸張されるような流れ場における渦核中の火炎伝播特性を調べることを目的としている.得られた研究成果をまとめると以下のようになる.
1.渦の強さ,渦核の大きさ及び混合気の当量比を変えて,渦核中の火炎伝播特性を測定した.その結果,渦核中の火炎伝播速度は,混合気の不足反応物質のルイス数Leの効果を受け,同一の火炎温度においてもLe<1.0の火炎伝播速度は,Le>1.0のそれより大きな値になる.
2.Le<1.0の混合気における渦核内を伝播する火炎の消炎限界は,Le>1.0の混合気の消炎限界より広い.
3.渦核内の最大周速度及び火炎面前後の密度比を一定とした場合,ルイス数に依存して火炎速度は2つの値をとる.これは,最大周速度と密度比が決まれば,渦核内の火炎速度が一義的に決まるとするChomiakの理論と大きく異なる.
4.渦核内の火炎先端形状を考慮した火炎伝播モデルを用いて算出された火炎速度は,定性的に実験結果と一致するが,定量的には一致しない.従って,渦核中の火炎速度を定量的に予測するためには,渦核内を伝播する火炎の先端形状だけでなく,渦核内の火炎構造や化学動力学的な特性を考慮した火炎伝播モデルを検討する必要がある.
5.渦核が伸張すると,渦核内の火炎速度は渦核が伸張されていない場合に比べて,大きく増加する.
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