研究概要 |
NOx排出量の規制強化や,燃焼高負荷化に伴いしばしば振動燃焼に悩まされる.環境騒音対策の一つとして振動燃焼の抑制は重要であると同時に,機器の破壊や事故防止のために,振動燃焼の発生を未然に防止しなければならない.しかし振動燃焼の発生原因は一つではないので,振動燃焼の発生機構の解明と分類を行い,それぞれに適切な対策法を確立することが必要となる. 1)燃焼装置を構成する混合室,供給管,燃焼ダクトなどの容積や管長などの組み合わせにより,種々の周波数の振動燃焼が発生する可能性がある.燃焼ダクト出口を開端,保炎器を閉端とする1/4波長およびダクトと供給管を合わせた長さに対応する1/2波長などの定在波は,保炎器位置が圧力振動モードの腹となるので,大きな燃焼振動を発生する. 2)火炎中に存在するOHラジカルからの発光強度測定によって燃焼による発熱量変動を調べ,燃焼室内の圧力変動,外部騒音との間の相互相関関係を調べた結果,振動燃焼を検知するのに適切な信号であることが明らかになった. 3)OHラジカル発光,燃焼室圧力をフィードバック信号とし,位相シフタおよび増幅器を介して混合室底部に取り付けられたスピーカを駆動する閉ループ制御を構成し,逆位相信号を混合気に与えた場合,特定の条件で騒音抑制効果はあるが,完全に振動燃焼を抑制することはできなかった. 4)燃焼現象とは無関係に,波形発生器によって発生させた波形をフィードバック信号とする開ループ制御を行った結果,供給管長を1/2波長とする周波数の正弦波により,完全に振動燃焼が抑止できた.このとき保炎器位置は圧力振動モードの節付近にある.
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