研究概要 |
超薄箔や軟粘性微細材を供給する場合,ハンドリング時に損傷したり,フィードをしようとするとフィード面に張り付いてしまう.これを振動の利用で解決するために,フィード面に進行波を発生させ,対象物を浮遊状態に近づけて流動化することをねらう.このためにフィード面をだ円振動させる.このとき,面各部の振動の位相を調節できるように,独立に駆動できるだ円振動子を並列に並べた群構成とし,このための振動子として,ループ状のたわみ振動とそれを取り付けた曲げ振動子を複合した構造を開発した.振動子群の上面にはフィード面となる弾性膜を取り付ける.フィーディング動作には,前者では上部材が上下に鼓上に振動する軸対称2次モード,後者は倒立振子の1次モードが適当なことがわかった.フィード面となるループ上部材のたわみ分布平坦率を向上させ,かつピエゾ板で駆動する横部材の振幅を抑えるための形状条件を明らかにした.このとき,ねじり振動のような,ねらったモード以外の振動が誘起するのを抑えることが重要なことがわかり,そのための形状決定指針を明らかにした.これらの事項を考慮して,振動子の設計製作を行った. 本メカニズムのフィード作用の確認のために,まず単独の振動子がエメリ-紙の輪を回転させる方法では,フィード実験を行い,フィード性能を調べた.また,別の手法で発生した進行波を用いた基礎実験では,チタンを始めとして,ニッケル,アモルファスなどの超薄箔のフィードができた.軟粘性材に対しては,フィード性能はフィード面のヌレ状態が大きく影響し,そしてPTFE被覆でシリコンゴム膜のフィード面の摩擦を減らすと向上する.このための一方法として,振動子の駆動入力に高調波成分を重畳させることも有効であることがわかった.
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