研究概要 |
弾性棒,それを回転させるアクチュエータ,アクチュエータの回転角度を計るための角度センサ,および弾性棒に作用するトルクを計るためのトルクセンサの計4つの構成要素からなる1軸の人工能動触角をモデル化し,環境が硬くてかつ接触点近傍における対象物の曲率が大きい場合について,接触点距離と弾性棒を介してセンシングすることのできる系の回転コンプライアンスの関係について定式化を行った.次に,ピアノ線,DCサーボモータ,ポテンショメータ,簡易トルクセンサを使った実験装置を試作し,コンピュータからの指令信号によって安定したセンシング動作が実現できることを確認するとともに,直線のピアノ線に対して,接触点位置と弾性棒を介してセンシングすることのできる系の回転コンプライアンスとの関係を調べ,線形理論によって導出した式とほぼ同様な関係を確認することができた.また,昆虫の触角のような湾曲形状の触角の場合には,直線形状の場合と異なり,接触点での摩擦が検出精度に大きく影響し,センサとしては好ましくないことがわかった.さらに,対象物の曲率が接触点検出に及ぼす影響についても考察し,対象物がエッジ形状の場合,対象物側からみた接触点位置は変わらないが,対象物の曲率が小さくなってくると,対象物側からみた接触点位置は触角の根元側に近づいてくると同時に押し込み方向に遠ざかっていく現象が現われることがわかった.この両者に起因する効果は互いに打ち消し合い,結果として対象物の曲率の影響はそれほど大きくないことを理論的かつ実験的に検証することができた.
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