研究概要 |
平成6年度は圧電マイクロマニピュレータの駆動機構である圧電インパクト機構が引き起こす振動対策と粗動機構の電動化を試みた.振動対策として震動源の分散化行ったが防震には効果を確認できなかった.むしろ,今回試みた圧電素子の複数化より,穴あきタイプの圧電素子1個の方が防震面では良い効果が確認された.ER流体を用いた防震機構については高電圧がもたらす卵細胞へ与える影響が未確認なので実験を中止した.粗動機港の機構の電動化については,マニュアルステージの代わりに電気的に制御できるステッピングモータ駆動XYステージを顕微鏡に組み込んだ. 平成7年度は顕微授精に必要不可欠なマイクロインジェクタの開発を試みた.ポリプロピレン製シリンジに圧電インパクト機構を組み込んだポリエチレン製ピストンおよび真鍮製シリンジに圧電インパクト機構を組み込んだポリエチレン製ピストンを組み合わせたインジェクションシステムを試作して実験を行った.面精度をあげたシリンジを用いた実験では非常に精密なインジェクションが可能な事を確認した. 卵細胞とマニピュレーション用微細器具の位置あわせの自動化は,オートアライメント装置およびオートフォーカスユニット,画像処理用モニターからなる自動部とマイクロマニピュレータ(粗動,微動),電動XYステージ,圧電マイクロマニピュレータからなるマニュアル部,そして顕微鏡で構成されるシステムを試作して自動化の実験を行った.顕微授精やDNAインジェクションの為のマイクロマニピュレーションの完全自動化を目指したが,全自動化するには,制御軸数が9軸以上となり複雑化して開発に時間を要することが判明し本研究では,画像処理装置を用いての基礎実験を行うに留まった.今回の研究で圧電マイクロマニピュレータは弾性のある細胞膜に微細器具をスムースに挿入できることが実証され,マイクロマニピュレーションの自動化には必要不可欠なものであることを確認した.
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