研究概要 |
まず、ベンチマーク用のデータを得るために、現用のホップフィールド型ニューラルネットワークシミュレータを用いて、実用規模の火力発電機定期補修計画問題題を解き平均収束時間を求めてみた。具体的には,発電機数30、40、50、60で、52期間(2年間に相当)のケースについて、ニューラルネットワーク(NN)で解いた。厳密解法である分枝限定法は30機系までが限界であり、EWS(SUN SS-10)で、20機系で約50分であったものが、30機系では約15時間となり、40機では1ケ月でも解が得られなかった。一方、NNでは、30機系、40機系を20回解いたときの時間は、それぞれ約30分(1.5分/回)、50分であった。20回解く理由は,NNで求められる解は最小解でなく極小解なので、多数回解いてその中の最良解を最小解とみなすという手順が必要であるからである。 並列計算による高速化を研究するため、トランスピュータを用いた並列計算機(現在4並列まで可能)により、ニューラルネットワークシミュレータを動作させた。具体的には、ニューロンをほぼ同じ大きさの4個のグループに分け、各グループ独立にニューロンの状態更新を行う並列計算部と、適当な間隔で通信により他グループのニューロンの値を得る同期部とを交互に繰り返すアルゴリズムについて研究した。結論としては、この計算機の特徴である通信速度の遅さが特徴的に現れ、50機系で約10%の速度向上しか得られなかったが、通信速度の早い計算機を仮定したシミュレーションによれば約40%の高速化が可能であることが判明し、一応初期の目的は60%程度達成された。
|