研究概要 |
本研究は電気機器設計に対する応用を前提とした三次元電磁界の有力な電磁力解析手法の開発を目的としている。解析手法としては,有限要素法,境界要素法,それに加えて我々が過去十数年近くにわたって研究開発を続けてきた有限要素・境界要素併用法を採用し,これらに関する基礎理論の研究と実機解析への応用を課題としてきた。基礎理論の検討としては,有限要素・境界要素併用法を運動する導体を含むモデルに適用し,解析精度の向上,無限領域の容易な処理,そして要素の再分割不要などの有用性を指摘した。また,従来の有限要素・境界要素併用法の欠点であった最終マトリクス処理の困難さを改善するための新たな解析手法である交互法の開発にも成功した。 実機解析への応用としては、リニア誘導モータ,リニア同期モータ,そして磁極分割型同期モータなどへの適用を試み,それぞれの機器における構造の最適化を図ることができた。具体的には,比較的複雑な構造を有する歯,スロット,磁石などを含む鉄心領域には有限要素法を,運動による電磁的物理量を査定する空隙中や外部の無限領域には境界要素法を適用することで容易に高精度な解析を実現した。さらに,短二次リニアモータの一次コイル結線法・給電法に関する検討を行うことで,新たなブロック給電スイッチング法に対する今後の設計への指針を与えることができた。この他にも,通風ダクトを有する誘導機,超伝導機器,二次元X-Yモータなどに対する特性解析を行い,機器の性能改善の指針となる有効な解析結果を得て,提案手法の妥当性と有効性を確認した。
|