研究概要 |
通信サービスへの要求の多様化に伴い,通信サービスの追加・変更の即応化を目指した高度なインテリジェントネットワークの研究・開発が進められている.本研究では,通信システムは複数のユーザで構成されているものと仮定し,通信システムの状態を各ユーザの状態の積集合で表す.一方,通信システムの各ユーザの状態は述語の集合で表し,ユーザが入力したイベントに基づいて複数のユーザの状態遷移を規定する.複数のサービス中に同一のイベントをもち,それらのイベントがどちらも実行可能であり,これらのサービスに関与するユーザの次状態が互いに論理的に矛盾するとき,サービス競合が起こっていると定義する. 本研究では.このようなサービスを形式的に記述したサービス仕様からプロトコル仕様を自動導出する合成法を考案した.次に,これを応用して,(a)サービス競合が起こるか否かを厳密に判定する処理,(b)サービス競合が起こる場合に優先順位を与える処理,(c)優先順位の最も高いサービスを実行する処理,の3つの処理で構成されるプロトコル仕様に変換することによってサービス競合を解決する方法を提案した.更に,提案した解決法を適用して,Bellcoreが規定した高度電話サービスを記述したサービス仕様からプロトコル仕様を自動導出した.この導出過程において,サービス仕様にサービス競合の記述が含まれていれば,提案方法特有の優先順位の尺度に基づいてサービス競合が解決できることを確認した.
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