研究概要 |
本研究では,拡張有限状態機械モデルとして形式的に書かれた通信プロトコルの要求仕様から拡張UIO系列と呼ばれる相互接続のための試験系列を自動生成するための新しい手法の考案とその関連研究を行った.従来考案されている試験系列の自動生成法では,状態や遷移の正しさは確認出来ても,相互接続試験の重要な試験項目であるデータの正しさ(要求仕様通りのデータの交換が行われていること)を保証することが出来ず,データの正しさを保証するためには,各試験系列の遷移条件に合致する具体的なデータ値を設計者自身で見つける必要があった.しかし,手作業によるデータ値の考案は,誤った試験系列を生成したり,試験のコストが増大するなど実用上様々な問題があった.これに対して,本研究では,取り扱うデータのクラスを整数上の加減算,大小比較に限定することにより,拡張UIO系列と呼ばれる試験系列とその試験系列に含まれる具体的なデータ値を自動生成する方法を考案した.また,この手法に基づくテストシステムを作成し,そのシステムを用いて,提案する手法がOSIセッションプロトコルなどの実用プロトコルに対する試験系列の自動生成に適用出来ることを確認した.この研究の一部は,IFIP主催のプロトコルテストに関する国際会議(7th IFIP Int.Workshop on protocol Test Systems,1994年11月)で発表し,最終版を電子情報通信学会論文誌に投稿している.また,関連研究として,取り扱うデータのクラスを上述のクラスに限定することにより,2つの時間制約付リアルタイムシステムの等価性を検証する方法についても考案した.その結果をソフトウェア科学会論文誌で発表する(採録決定).
|