研究概要 |
本研究では,線形ブロック符号の軟判定準最適復号法に関する研究を行なった。具体的に対象とした符号のクラスと復号方式は以下の二つである。 (a)分解可能な符号:連接符号の拡張形として,内部,外部符号長がそれぞれ同一の複数の連接符号の直和で表される符号で分解可能符号という.復号は直和を構成する部分符号の復号を遂次行う.各段の復号は一般化されたclosest coset復号法で行う.この復号法は,変調符号に対する今井-平川の多段階復号法,及び分解可能符号に対するclosest coset復号法を一般化した方法である.線形符号Cが部分符号C_1とC_2の直和で表されるとする.C_2の上位符号C'_2があって,C_1+C_2(以下C'と書く)の復号は、C自体の復号より簡単であるとき,CのC_1に関する成分の復号は,C_'の復号として行い,その復号結果u^^-を使ってC_2に関する成分をC_2+{u^^-}の復号として求める.この復号法が有効であるような符号の構成法を考案し,復号特性評価プログラムを整備し,具体的例について性能と機構化のコストを評価した. (b)遂次復号法:復号の初期候補を比較的復号複雑さの小さい復号法(例えば硬判定代数的復号法)で求め,次に最小重みの符号語を符号語をすべて含む規模の小さい部分トレリスダイアグラムを繰り返し用いて候補符号語の周囲で,より尤度の高い符号語を遂次求める.復号結果の最尤性に関する十分条件を繰り返しの早期終了条件に用いる.この様な遂次復号法について,(1)平均的な復号複雑さを小さくする初期候補符号語の求め方の考案,(2)符号の重みプロファイルの情報を用い繰り返し回数を減少させる方法の考案,(3)(1),(2)で考案した方法を含む遂次復号法の復号複雑さと誤り確率の評価,を行なった.
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