研究概要 |
1.1974年以来の雑音観測記録と気象台の気象観測記録を照合し,気象条件と雑音の関係を精査した.降雨・雪に際して必ず出現する種類の雑音があり,その検知により12時間以内および約20Km四方の圏域で,痕跡程度の微雨でも予知できることが判った。降水と雑音双方の検知漏れを考えれば予測確度は95%程度である.雑音波による高感度の地域降雨予測は,酪農や小麦産地における初夏の営農に役立つものと期待される. 気象条件と雑音特性との多変量解析のための専用プログラムを開発した.気象条件と雑音特性,雑音特性に対する気象条件と双方向に因子を自由に交換して解析できるものである.採取した標本が厖大でデータベースは完成していないが,その一部による解析結果でも非常に興味深いものがある.今後の解析の準備を整えたので,データベース作りと計算を更に続行して大気圏電磁現象に関する新知見の発掘に努めたい. 3.音声認識ボードを装備したコンピュータによる雑音の自動認識は,技術上の問題で遅れたが本年からテストに入る.このシステムではコンピュータを含め,装置全体から放射される雑音が無視出来ない.リアルタイムの雑音検知は,アナログ方式で作られた認識装置を主体とし,インパルス計数などのデジタル技術を組み合わせたハイブリッド構成とするのを可とす.既に単体で動作可能な認識装置も作ってあり,総合的な基本設計が固まっているので,航空,海洋,山間僻地での自前の気象予測に有用なるべき技術の実用化に着手する. 4.地震や火山活動に伴う電磁放射とクロスし,相互に検知技術の交流や協力が可能なので,現在それを実行中である.今のところ,本邦では上記の地球物理学的問題で電磁気学によるアプローチは異端視されているが,世界の流れは大気圏電磁現象の新研究課題として注目するに至っている.今後各国の研究者と交流したい.
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