研究概要 |
超音波パルスエコー法による診断技術はX線CT等に比較して安全であり,装置が小型簡便であるため今日広く普及している.しかし,再生される像の精度はX線CTに遠く及ばないのが現状である.超音波パルスエコー法の像は超音波振動子の指向性を利用して再生されるため、超音波診断装置の画質は測定に用いる振動子の性能原理による超音波振動子の三次元音場の再生法を開発した. まず本研究の基礎となる音響ホログラフィー法の高精度再生法を提案し、測定条件と再生アルゴリズムについて報告した。(田部井他:音響ホログラフィー再生のためのサンプリング条件に関する検討、信学技報US94-12)さらに提案する計測法の精度確認を目的として、円形振動子音場の理論解をもとめ精度の比較を行った。(ツンデウオ他:円形振動子の近距離場での速度ポテンシャルの級数展開、平成6年秋音講論集、1125-1126) 次に本手法を用いた振動子音場の計測によって得られた情報を使って、人体内部での屈折によって超音波像に生じる歪みの解析を行った。(杉本他:生体非均質層に起因する超音波の位相歪み分布のハイドロフォンを用いた測定法、超音波医学、Vol.21,No.9,573-582、Sugimoto他:On the effect of wavefront distortion by the propagation through inhomogeneous layer to the directivity of ultrasonice transducer,JJAP掲載予定) 本研究によって、超音波振動子の特性を三次元的に把握することが可能となり、また生体内部の屈折によって生じる超音波画像の歪みを定量的に示すことが可能となった。これによって超音波画像の歪み補正による画質改善の道が開かれた考える。
|