研究概要 |
膜電位感受性色素/シリコン高分子膜をプラスチック光ファイバ端面にコーティングした透過吸収分光型光ファイバセンサを作製し,種々の味溶液に浸漬したところ,味物質の違いに応答して色素吸収スペクトルが変化し,味覚センサとなり得ることを見い出した.6種類の色素を用いて6chセンサアレイを作製し5基本味溶液の味パターンを計測した.その味パターンデータと人口ニューラルネットワークを用いてパターン認識的に味溶液を識別できることが分かった.比較のため,これらの色素膜を被覆した色素膜銀電極を作製し膜電位を直接測定したところ,味物質の違いに応答して膜電位もまた変化し,色素吸収光変化と膜電位の間に相関関係があることがわかった.また,上記膜電位感受性色素膜を極性の異なる有機ガス系においに接触させたところ,におい分子の違いに応答して異なる色素吸収スペクトル変化(色素膜の色変化)を示し,においセンサとしても十分応用できることがわかった.比較のため,従来から使われている半導体ガスセンサアレイを使用してその出力パターンを計測し,人口ニューラルネットワークにより有機ガスにおいをパターン認識的に識別することを試み,色素膜光ファイバセンサの結果と比較検討した.その結果,半導体ガスセンサアレイではメタノール,エタノール,プロパノールの識別は困難であったが,色素膜光ファイバセンサでは分子構造・性質の類似した上記アルコール類を識別できることがわかった.さらに32ch光ファイバセンサアレイを試作し,におい濃度分布とその時間変化をコンピュータ・ディスクプレイ上に可視化できるシステムを試作した. 次に,膜電位感受性蛍光色素をプラスチック光ファイバコア表面にドープしたエバネッセント波蛍光分光型光ファイバセンサを作製し,種々の有機ガス,味溶液に浸漬したところ,有機ガス,味物質の違いに応答して蛍光スペクトルが変化し,有機ガスセンサ、味覚センサとなり得ることを見い出した.
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