研究概要 |
1.耐久性向上に関する研究 寒冷地海洋コンクリート構造物の最適材料・配合条件の検討を主に行った.オホーツク海沿岸の干満帯並びに潮風帯に9年間暴露しているコンクリート供試体(10×10×40cm)及び消波ブロックの経年変化を調べ,コンクリートの凍害剥離の進行状況を内陸暴露コンクリート供試体と比較し,凍害劣化のうち,特に表面剥離の抑制のための最適材料・配合条件について検討した. その結果,以下のことを明らかにした. (1)干潮帯にあるコンクリートは,内陸のコンクリートに比べて表面剥離が発生しやすい.しかし,空気量8%にするとコンクリートは干満帯・潮風帯であっても表面表面剥離発生我抑制される. (2)(1)普通ポルトランドセメント,(2)フライアッシュセメントB種,(3)普通ポルトランドセメントに分量で15%(質量比)シリカフュームを使用したコンクリートは,剥離抵抗性に優れている. (3)凍結融解作用を受けはじめるときのコンクリート強度が剥離抵抗性を支配することがら,水セメント比を小さくするか,早強性のセメントを用いると剥離防止に有利である。 II.寒冷地海洋コンクリート構造物の耐用年数予測評価 8000回に及ぶ気中凍結融解試験の結果を解析し,指数関数を用いた非線形解析モデルにより,適切な耐用年数予測式を検討した.また,寒冷地のコンクリート構造物の調査,暴露実験の結果及び材令95年の海水浸漬モルタル供試体の抗張力試験から得られたデータを信頼性理論を用いて信頼性解析を行った. その結果,寒冷地及び海洋環境下のコンクリート構造物の耐久性や耐用年数を定量的に制御できる劣化要因を明かにした.また,非線形指数モデルと信頼性解析から設定された劣化の水準に達するまでの凍結融解回数などの時間的な予測を可能にする手法を明らかにした.
|