研究概要 |
超長大橋の桁の耐風性を向上させるためのアクティブコントロールを目的とした研究である.アクティブコントロールの手法としては,いくつかの方法が考えられるが,本研究で扱ったものは,超長大吊橋で最も重要なテーマである桁のフラッター制振を流体力学的手法で行おうとするものである.その手法としては,フラッターを誘起する流体力の因である剥離流を制御することである.これまでに,吊橋の主塔を意図して,正方形角柱の空力弾性振動を抑制することを前縁からの剥離流を制御することで検討してきている.この研究成果によれば,剥離点にローターを設けて剥離を制御することにより,渦励振およびギャロッピング等の空力弾性振動の抑制が可能である.このことを踏まえて,本研究では橋梁断面の基本断面である偏平矩形断面の前縁にローターを設置して,前縁からの剥離を制御することが可能か否かを検討した.その検討方法としては,空力弾性試験,表面圧力測定,静的三分力測定を用いた. その結果,空力弾性応答実験によると,接近流速に対するローターの回転速度比を0.6程度にすることで,フラッター発振風速をローターを回転させない場合の3倍程度にまで上昇させることが出来る.圧力分布についてみると,ローターを回転させることで剥離流の再付着を促進させて剥離境界層を薄くできており,励振力となる流体力を小さくすることが出来る.自励力に最も関係の深い位相差もローターの回転により制御されている.しかしながら,静的空気力はローターの回転によっても大きな変化はない.従って,ローターの回転は変動空気力特性の制御に大きく寄与しているといえる.
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