研究概要 |
本研究では,現在道路事業を中心として検討が進められている『供用性能が高く,かつ,長寿命化が図れるアスファルトコンクリート舗装』に必要な「支持力の大きな路床」を効率的に構築するための一つの方策として,路上混合方式により軟弱な在来路床土に予めセメントを付着させた砕石(セメント付着砕石)と自硬性を有する産業廃棄物(フライアッシュ)とを混ぜ合わせることを提案し,この方法による路床改善効果を確かめる目的で,室内試験において種々の配合条件のもとで作製した混合材料の締固め,支持力(CBR),強度(一軸圧縮強さ)および変形(体積収縮,膨張)の各特性について詳細に調べてみることにした。以下に,研究期間である平成6年度に得られた主要な結果を列挙する。 (1)セメント付着砕石の使用により,路上混合方式の短所とされている「混合むら」の発生をかなり低減することができるようになると判断される。また,フライアッシュの混入は粉塵抑制の面では不利な要件となるが,一方において,安定材の添加量を減じるという経済的効果が見込めるようになる。 (2)CBR試験における吸水膨張量ならびに一軸圧縮試験における体積膨張量(水中養生時)の測定結果をみるかぎり,セメント付着砕石およびフライアッシュを混合した改良路床に地下水が長期間作用しても,路床が舗装を押し上げて路面の平坦性を損なう恐れは極めて少ないと推断される。 (3)空気中3日,水中4日の養生期間を経た混合材料のCBRと一軸圧縮強さquとの間には直線関係が成立し,CBRはquの4.5〜4.8倍の大きさに相当する。したがって,本研究で取り扱った改良路床に対しては「路床材」としての観点より,品質規格の評価にあたっては支持力のみならず強度も考慮に含める必要があるものと考えられる。
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