研究概要 |
本研究で行ったことは,相互に関連しながらも以下の5つに分類される. 1.土地利用スケールが地上からの熱・水フラックスに及ぼす影響:都市,植生を取り込んだ詳細な熱収支モデルを開発し,それを用いた数値実験によって,土地利用スケールと平均顕熱・潜熱フラックスとの関係を明らかにした. 2.地上からの熱・水フラックスが降雨分布に及ぼす影響:陸面過程,降雨モデルを含んだ数値モデルを用いて,都市化に伴う地上からの顕熱フラックスの局所化,土壌水分量の局所化が降雨を発生させるかどうかの解析を行い,豪雨発生の可能性を見いだした. 3.上昇気流が積雲の発達に及ぼす影響:山岳斜面による強制上昇流を想定し,微物理過程を含んだ積雲数値モデルを用いて,初期鉛直上昇流と積雲の発達度合い,もたらされる降水量との関係を明らかにした. 4.地形分布が降雨分布に及ぼす影響:鹿児島豪雨のレーダー観測情報を用いて,どの程度大きなスケールになると降雨分布特性と地形分布特性が大きく関連してくるかを,雨域の発達・衰弱量の時間的・空間的持続性を指標に調査し,1日程度の時間スケールで見た場合は,20km程度の平均スケールになると関係が顕著に現れることを見いだした. 5.降雨予測:レーダー情報と数値予報結果を結合させた短時間降雨予測手法を開発するとともに,情報工学的手法を用いた局地降雨予測手法の開発を行った. 6.降雨が流出系の及ぼす影響のモデル化:任意の流域でこの影響を評価することを容易にするために,流出系の構造的モデル化を図った.
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