| 研究概要 |
(1)吹送密度流の外力特性を実証するために風速・風向の観測を行った。山間部の貯水池と近隣気象台で観測される風のデータの比較より,風速の相関性が高い場合にも風向に関しては両地点での時系列特性が大きく異なることが明らかとなった。また,成層水域の水面に供給された風力エネルギーのうち内部波エネルギーとして下層へ放射される割合を明らかにするために,内部波の観測とその解析を行うとともに,内部波の伝播特性と躍層厚さとの関係を理論的に明らかにした。閉鎖水域の吹送循環流と水質混合現象に関してはk-ε乱流モデルによる二次元解析を行った。
(2)躍層面でのせん断渦の乱流構造と水質輸送過程の関連性を明らかにするために,K-H不安定波に関する可視化計測とLES解析を実施した。せん断層の流動場は高速ビデオカメラにより可視化計測され,平均流と乱れの構造がPIVを用いた画像解析により検出された。壁面乱流場と類似の組織構造が水質輸送に対して重要な役割を果たしていることが実験およびLESによって明らかとなり,順流形風成密度流の躍層面における水質輸送モデル定式化のための基礎的知見を得ることができた。
(3)大阪・東京湾域を対象にして半閉鎖水域における吹送密度流の水理実験・数値解析を行い,風域湧昇速度・鉛直混合量と吹送流パラメーターとの関係に関する経験式を得た。成層湾内の風成流動は三次元数値解析により再現され,潮流・恒流系に関する種々の現地観測結果との比較・検証が行われた。解析結果は湾内の風成流を的確に記述し得ることが実証され,これを水域環境の予測・評価業務に供することが可能である。さらに,閉鎖水域の流れを明快に表現することを目的として,実験・数値解析結果の可視化プレゼンテーション技術を開発した。
初年度ならびに本年度の研究成果は最終報告書としてまとめられた。
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