研究概要 |
昨年度実施した青蓮寺ダム湖上流域での淡水赤潮の現地観測データを整理・分析するとともに、その現象を一方向多層モデルを用いて数値解析し、それらの結果を考察した。その結果15EA02:(1)流入流量の低下、貯水池表層水温と流入流温の差の増大に伴い、流入水の潜入点直下流に淡水赤潮原因藻類であるペリディニウムの集積が進行する。15EA03:(2)淡水赤潮の集積の程度に関係する最も支配的な因子は、貯水池表層水温と流入水温であり、それらは原因藻類の輸送,増殖,鉛直移動の各集積機構に関係する。15EA04:(3)ペリディニウム現存量の日周変動は、午前に大きく、午後に小さくなる上流部での上下層流速による移流と、光と温度の関数として表示されうるペリディニウムの鉛直移動特性、すなわち昼間での上方移動、夜間の下方移動を反映している。15EA05:(4)一一方向多層流モデルによる数値解析では、流水河川水の潜り込みとそれに伴う貯留水の循環、とくに表層の逆流が再現されるとともに、現地観測されたペリディニウムの集積現象が再現された。15EA06:(5)数値解析結果の考察より、淡水赤潮集積の進行・維持には、原因藻類の上方移動割合,速度,表層での増殖速度が大きく関係することおが明らかとなった。また、集積の程度については原因藻類の上方移動割合のみが関与し、その他の因子の影響は小さいこともわかった。15EA07:(6)流入水の潜り込みに伴う貯水池表層水の連行は、流入水に関する内部フル-ド数と負の相関があり、表層水温と流入水温との差が拡大すると、上流域へ出入りする藻体量は増大すること、午前中は下流から上流域へ流入する藻体量が下流へ流出するそれを上回り、午後になるとそれらの関係が逆転し、それが上流域での藻体量の日周変動を支配していることが明らかとなった。
|