研究概要 |
駅前空間の設計・計画において考慮すべき要件は多い.本研究においては,十分な対応の図られていなかった交通流の特性の把握方法を整理するとともに交錯を伴う歩行者交通流の観測・分析を行い,特に改札口前空間でのサービス水準評価方法を提示することを目的に検討を行った。 1.交通処理・運用上の課題の整理:駅前広場の施設設置や利用者の属性等によって交通運用の状況が異なることから,施設要素の組み合わせパターンをもとに課題を整理した. 2.歩行者交通量の観測:運用形態・錯綜挙動の異なる2カ所の駅改札口前空間の選び,ビデオカメラ・レコーダを用いて歩行者の挙動を記録した.その際併せて被験者に当該交通流における歩行の快適性についての評価をしてもらった. 3.現象分析および評価構造の検討:分析例少ない歩行者交錯流を多角的に分析し,その特性を把握した.またその場の歩行者の意識構造をSD法を用いて分析し,快適性の寄与要因の構造を明らかにした. 4.改札口前空間のサービス水準の検討:現象分析結果とSD法による結果とを対比して,当該空間の歩行者に対するサービス水準の評価するための基準の検討を行い,その方法の提案を行った. 5.滞留者に関する分析:対象空間に存在する各種施設との位置関係で滞留特性を説明するモデルを開発し,分析を行った.また,滞留者と歩行者との関連分析を通じて,滞留者密度の大きな場合と小さな場合とでは構造的にその状況が異なることが知られた.さらに滞留者の必要空間を,歩行者との関連で等量表現を試みた.分析を通じて,個人滞留とグループ滞留とではかなりその特性に差があることが知られた.
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