研究概要 |
1.富山県内を流れる河川の流域を対象に過去の気象,水文資料により検討した。 (1)全体の傾向として,1987年以後,10年間は暖冬,少雪であり,これは過去40年間では例がない。一冬総降雪量変動比R_f(最大値/最小値)は平野部材で7.0〜8.5,山地部では2〜3で山地部で安定的に降雪がある。 (2)平野部で,冬季気温が1℃変動すると一冬総降雪量は約160cm変動し,6〜7℃以上では降雪量はゼロに近づく。 2.温暖化シナリオとして,降水量変動(±10%),気温変動(+1〜4℃)の組合わせで,流出モデルを検討した。 (1)温暖化の影響は,流域特性により流域毎に微妙に変化し,融雪流出期が半月から2ヶ月程度早期化する。 (2)平均気温の変化が3℃以上,降水量変化10%となると流出量変化が1〜3月にかけ数10%以上となり顕著となる。 3.全国一級河川,富山県内27河川,県内農村域小河川の水質資料等と降雪量の関係について総計的に検討した。 降・積雪量の増大は,融雪流出量の増大となり,水質は希釈効果と負荷量増大効果を受ける。SSは,融雪期に濃度が増大する河川がある。pHは経年的に増加傾向で,降雪量の増大は,pHを低下させる傾向がある。 4.富山県内の一河川(庄川水系,和田川)における,水文,水質調査を実施している。 (1)4段タンクモデルの流出量を浅層流出量と地中流出量に分け,電気伝導率の流出現象が表現可能であった。 (2)電気伝導率流出負荷量と流量は非常に相関が高い。(EC・Q=aQ^b;相関関数R=0.999,EC=電気伝導率) 5.温暖化シナリオ(2.と同様)のもとに,神通用の1981年資料より,2.,4.を参考に,BOD流出負荷量の流出シミュレーションをおこなった。BOD流出負荷量は,流出量の影響を強く受け,降水量変動(+10%),気温変動(+3℃)の場合,12〜2月に2〜5倍になり、春季は数10%減少し,夏季,秋季は比較的変化が小さい。
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