研究概要 |
現代日本社会では,急激な高齢化と価値観の多様化がもたらす死後の追悼に対する種々の対応が迫られている。 そこで本研究の目的は,今後,どのような形の追悼が有り得るか,特に都市部における対応とそれを担保する建築計画的システムの探求にある。 研究方法は,代表的な追悼空間としての墓地を素材に,自治体の動向をヒヤリングしその実態を明らかにするとともに,将来動向を予測するため,墓地や霊園での追悼行為の解析を試みた。 これらの結果をもとに追悼空間の在り方を考察し,予想され得る形態を個々に検証し,追悼空間の形態を構築した。 得られた成果として,まず,第3章の「首都圏における追悼空間の整備動向と現状」では,各自治体とも追悼空間の整備を「墓」を中心に考えているが,種々の壁に直面しており,新しい方向での打開策を模索していることを明らかにした。 次に,第4章の「今後の追悼空間にたいする方向と意義」では,建墓者・墓参者に於ける墓地・霊園に対する意識をもとに,各方面の動向など加味した構想を立案して,各種階層者に対し,アンケートによる将来予測を行い解析した。 具体的な動向として研究者が直接関与した事例をもとに,第5章では「火葬場建設運動にみられる追悼空間整備」について,第6章では「墓地火葬場再整備計画立案」から追悼空間の再編成を論じた。更に,今後の追悼空間の姿の一つとして第7章では「追悼空間としての記念館施設」を取り上げ考察,報告書としてとりまとめたものである。
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