研究課題/領域番号 |
06650719
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
前田 康二 東京大学, 工学部, 助教授 (10107443)
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研究分担者 |
鈴木 邦夫 東京大学, 物性研究所, 助手 (50107439)
竹内 伸 東京大学, 物性研究所, 教授 (60013512)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1994年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 転位 / キンク / 高分解能電子顕微鏡 / 格子像 / 電子励起 / 照射促進転位すべり効果 / 積層欠陥 / 半導体 |
研究概要 |
高分解能電子顕微鏡(HREM)を使った転位芯の原子像観察法として、電子ビームをすべり面に直角に入射させる新しい方法を用いて転位線上のキンクを直接観察し、その運動や発生を調べることにより、電子励起によって転位のすべり運動が著しく増速される現象-REDG効果の機構究明を行なった。結果は以下の通り。 (1)格子像シミュレーション:部分転位に挟まれた積層欠陥に対応する3倍超周期構造は、膜厚が30Å以下でないと十分なコントラストで得られないこと、30°部分転位の再構成を示す2倍周期コントラストは非常に弱いこと、が分かった。 (2)HREM観察:490℃で圧縮変形したn-GaAs結晶から(111)すべり面で切り出した板状試料から作成した試料を、300kVでHREM観察した。 (3)画像解析:画像処理により積層欠陥だけを抽出した像を検討した結果、一般的特徴として、(1)30°,90°部分転位のあいだで転位線形状にあまり差がないこと、(2)両転位成分を問わずキンク濃度が非常に高い(〜0.1/b)こと、(3)時間とともに部分転位の形状は変化すること、を見いだした。 (4)実験結果の検討:(1)の事実は、全転位の運動は30°部分転位で律速されると考えられる事実と矛盾する。(2)の事実からは、キンクが高温変形時に形成されたものとすると、キンクの形成エネルギーは0.15eV以下と極端に小さいことになってしまう。異常に高密度のキンクの存在は、転位線が長距離にわたってパイエルスポテンシャルの谷方向に沿っている事実とも合わない。(3)の事実と照らし合わせ、最も妥当な解釈として、電顕観察に用いる電子線によってキンク対生成が電子励起され、過剰なキンクが非平衡に導入されているとの結論に到った。また、本手法を使用してREDG効果の素過程をその場観察できる可能性が実証された。
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