研究概要 |
N1/Hf多層膜は、λ>440Åにおいて、X線回折では、Ni,H5の結晶のピークが現れたにもかかわらず、R(+)からは、結晶というより、むしろ、アモルファス的といって良いほどのスペクトルを観測した。これは、マグネトロンスパッタリングによって作成されたHf相は、多くの欠陥により短範囲的にかなり乱れていることを示す。R(t)を周波数分解した結果、λ〜2000Åの多層膜にHfのhcpに相当するものとおもわれる3つの周波数が現れた。膜の方向依存は、それぞれのωの強度に関係し、hcpのc軸が膜の法線方向に平行な成分と、ランダムな成分が、混合すると仮定するとうまく結果にあう。一方、λ<110ÅになるとX線回折は結晶性の鋭いピークが現れるかわりに、非晶質に相当するブロードなピークが現れた。TDPAC測定の周波数成分は一つのブロードな山になり、また、方向依存性もなくなる。これより、既に成膜時にアモルファス化していると考えることができる。アモルファス化のため焼鈍した試料のX線回折実験では、λ〜2000Åの試料は、340度(C)焼鈍にてブロードなピークが現れたが、Hf,Niのピークは残り完全にはアモルファス化しなかった。アモルファス化の温度は膜厚が薄くなるにしたがってやや下がっている。TDPAC測定では、θ〜45°で、徐々にS_2が小さくなり、260°C焼鈍にて膜の方向性がなくなる。これはX線回折のHf(002)面の減少と一致する。焼鈍によりβ40°C付近でフーリエ変換による周波数が一つになる。このとき、ν,ηは、成膜時における数値より増加し、液体急冷により作成したアモルファスの値に近くなった。λ〜110Åの薄膜では580°Cと、620°Cの焼鈍により、二段階の再結晶と思われる変化が現れた。急冷によって作成した試料とほぼ一致する。
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