研究概要 |
現在,ガスタービンや航空機用エンジンタービンなどの高温用構造材料として,Ni基超合金が主として用いられているが,環境問題となっているNOXの発生の抑制や,燃焼効率の上昇を目指し,より高温度域で使用可能な材料が求められている.本研究では,Ni基超合金と比重がほぼ同等で,しかも融点がより高いNb基合金に着目し、室温ならびに高温での機械的特性に優れたNb基超合金の開発とその組織制御を目的として,MA法,PREP法の2種類のPM(粉末冶金)プロセスによりNb-Al,Nb-Si系合金の作製を試みた.さらに,得られた粉末および焼結体について,組織ならびに種々の温度における機械的性質について検討を行った. 一般に,金属間化合物は,通常の金属材料と比較して酸素,窒素および炭素等の不純物の影響を受けやすいといわれている.本研究では,Nb合金に炭素を積極的に添加することでNb炭化物による分散強化をはかった.得られた結果は以下の通りである. (1)ヘプタン(CH_3(CH_2)_5CH_3)を添加することにより,炭素量が組織に与える影響について検討した.その結果,Nb-AlのNb,Nb_3Alの二相領域のMAにおいてはヘプタン添加量によって,MA粉末のアモルファス化傾向に違いが見られ,焼結体ではNb_2Cの分散が観察され,硬度に影響を及ぼした. (2)Nb-SiのNb,Nb_5Si_3の二相領域のMAにおいてはSi量によって,MA粉末のアモルファス化傾向に違いが見られ,焼結体では,熱処理によってNb_5Si_3の生成と成長が起こり,強化することが確認された. (3)PREP用のNb-Al系合金電極棒作製過程において酸素含有量の増加や,融点の違いによる溶解中のAlの蒸発を避けるため,CIP-疑似HIP-SHS法による電極棒作製を試み,PREPに使用可能な電極棒を作製することが出来た.さらに,この方法によりPREP粉末を作製することに成功した.
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