研究概要 |
FFTアナライザーを用いて高次(n=3)の共振周波数が正確に測定できることに着目しFe焼結体ならびに2024系Al合金焼結体の空隙率、弾性率ならびに内部摩擦の測定を行ない,つぎのような結果を得た. (1)曲げ振動法により第1次から3次までの3本の共振振動スペクトラムが観測された.これら共振振動数と焼結体密度との間には直線関係があり,第3次共振周波数に関する直線の勾配が最も大きくなった.(2)第1次〜3次までの共振周波数を用いてFe焼結体の見掛けの弾性率を求めたところ,従来報告されている結果とは異なり,低くなる傾向を示した.(3)2024系Al合金焼結体について、焼結のみ,およびさらにT6処理した試料ともに最大歪振幅ε_<max>が約1x10^5より高い範囲で,ε_<max>依存性が観察された.(4)歪振幅依存性のない低ε_<max>域でQ^<-1>を比較すると,Al-(3-6)%Cu-0.5%Mg-0.8%Si焼結合金のQ^<-1>は1.5〜8.1x10^3でFe焼結体の約10倍,Pb溶浸Fe焼結体の約4倍の大きさであり,本Al系焼結合金における防振性の高いことが確認できた.(5)本実験で用いた焼結のみ,およびT6処理した試料のQ^<-1>はCu含有率依存性を示し、Cu含有率が増加するとともに,両者ともQ^<-1>は低下した.(6)焼結体をT6処理すると、引張強さは密度比93%の場合,Cu含有率に応じて150〜200MPaから250^〜280MPaに増加するが,低ε_<max>域ではQ^<-1>もT6処理することにより若干大きくなる傾向がみられた.(7)本Al-Cu-Mg-Si系焼結合金の防振機構は,転位型に加えて複合型であると考えられるが,詳細は不明である.(8)2024系Al合金焼結体のQ^<-1>は交番応力の繰返し数Nに対し,初期の段階でほぼ一定値を示した後,破壌直前に急増する.この変化は共振周波数f_Rの変化とほぼ対応しておりf_Rの測定によって,より正確に疲労挙勤を検討することが可能と思われる。
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