研究概要 |
Laser meltによる酸化物超伝導体の単結晶育成のために,出発原料組成の再検討,最適な育成条件の決定,それに伴う装置の整備.改良を行った。BSCCOでは,2212とこれとCuOを結ぶ線上で2点(I,K組成)を選び,MgOルツボの中で溶解,2℃/hで徐冷した.LSCOでは,off-stoichiometric組成の焼結原料棒(5mm径)を作り,Laserで加熱後,徐冷した.また,単結晶のTcの評価のために,交流帯磁率の測定装置を自作した.次の実験結果が得られた.BSCCOの大きな単結晶がI組成から育成された.へきかいによって得られた単結晶は7×7×0.5mm^3のサイズで,広いC面を持っていた.Tcの値はas-grown状態で,80〜87Kの範囲で分布した.各々の単結晶の組成をEDXで分析して,2212からのズレを調べた.冷却速度2℃/hは,zone meltの場合0.2mm/hのzoneの移動速度に対応することがわかった.この単結晶の成長機構は少量のfluxの中で成長核が形成されa,b軸方向に沿って急激に成長し,同時に自由に回転して方位をそろえ,徐々にfluxを排除しつつ積層するものと考えられる.また,ビッカーズ硬度計で硬度を測定し,Hv=99を得た.この値よりBSCCOは金属と同程度の柔らかい結晶と見做される.(これらの研究結果は共同研究者の卒業論文として公表された.)LSCOの出発組成はLa_2O_3=19g,SrCO_3=0.7g,Cuo=17gが適当で,四角板状の小さい結晶が成長した.溶融帯の移動速度を1桁さげて,より大きな単結晶の育成を試みている.
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