研究概要 |
塩化物1β-アルミナ電解質を用いた起電力法により,ドロスと呼ばれる金属間化合物が共存する条件で液体Fe-Al-Zn三元系合金中のAlの活量測定を行った. この電池の起電力は次式のように表され,Fe-Al,Fe-Zn二元系の金属間化合物中のAlの化学ポテンシャルを起電力と温度から求められる。 EN=(RT)/(3F)In〔(a_<Al>)/(a°_<Al>)〕=(RT)/(3F)In(a_<Al>)=(μ_<Al>-μ°_<Al>)/(3F)=(Δμ_<Al>)/(3F) 得られた超電力と温度の結果を用い,亜鉛液相と共存する金属間化合物のポテンシャル状態図を描いた.その結果δ_1+Fe_2Al_5+liq.の三相平衡は,460℃以下でΓ_1+Fe_2Al_5+liq.とδ_1+Γ_1+liq.の2つの三相平衡へ分岐し,従来δ_1が安定と思われていた低温領域でΓ_1が安定相として存在することが明らかになった.このΓ_1相はδ_1相から生成する時粒成長して粗大化すること,およびAlの溶解度がδ_1相に比較して高いことを見いだした.またその組織観察から,δ_1相とΓ_1相の組織学的な特徴の相違を比較し,その成長機構を推定した.実際のCGLポットから採取された大きく粒成長したボトムドロスがΓ_1相であることが確認され,従来CGLにおける表面傷は,このΓ_1相によるものと推定される.また,起電力と温度のプロットの屈曲からδ_1相に2次相転移が存在する可能性が示唆され,これをδ'_1と名付けたこの相の存在領域をポテンシャル状態図上に示した.ただし,現時点では結晶構造などに関する詳細は確認できていない.さらにドロス相の平衡組成を分析により決定し,これをもとにして組成状態図を描くとともに従来の結果と比較した.このポテンシャル状態図と組成状態図を用い,実操業におけるCGLポットの内の温度,アルミポテンシャル分布を測定・解析し,ポット内におけるΓ_1相の生成機構について推定した.
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