研究概要 |
1.溶鉄を超急冷できる装置を作成し、非金属介在物をTEMで観察するための新しい試料作製法を開発した。 2.超急冷したAl脱酸鉄中には微小球状介在物やネットワーク状介在物が観察された。これらは冷却速度の減少と共にそのサイズが大きくなっており二次介在物と考えられる。微小球状介在物はFeO,FeO・Al_2O_3,Al_2O_3であり,ネットワーク状介在物はAl_2O_3であった。これらのAl_2O_3介在物はαではなくγ,δ,κ,θ-Al_2O_3であった。 3.γ,δ,κ,θ-Al_2O_3は液体-Al_2O_3の状態を経由して生成した可能性があり,これについてオストワルドのステップルールと均一核生成理論の立場から考察した。 4.デンドライト状,もみじ状の介在物も併せて観察されたが,これらは冷却速度による顕著な観察されず一次介在物と判断した。これらはその枝や葉あるいはその幹がAl_2O_3の場合もあればFeO・Al_2O_3の場合もある。 5.Alを溶鉄中に拡散,脱酸させた実験ではAlの拡散最前線に微小なFeO・Al_2O_3が生成していたと考えられ,それが臨界過飽和度に達しデンドライト状やもみじ状の介在物として晶出すると考えられる。さらにAlが拡散し,Al濃度が高くなると微小なAl_2O_3が生成しFeO・Al_2O_3の場合と同様にAl_2O_3がFeO・Al_2O_3上に晶出するかあるいはFeO・Al_2O_3がAl_2O_3に変化すると考えられる。
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