本研究においては、高温高圧の水中での分解反応およぼす超音波照射効果を系統的に調べることを目的とした。特に、温度や密度の変化や共存する多孔質微粒子の存在が超音波照射効果にどのような影響を与えるかを明らかにすることを重要課題とした。そこで、はじめに基礎実験として水および水よりも臨界温度の低いメタノールおよびエタノールを溶媒としてジベンジルエーテルの分解反応実験を行った。反応条件は温度が375℃、420℃であり、圧力は10〜40MPaである。得られたデータに基づいて、ジベンジルエーテルの分解反応速度定数を決定した。その結果、反応速度は溶媒の密度に強く依存していることが判明した。また、反応速度の溶媒密度依存性は溶媒種によって異なった。すなわち、水では密度増大に伴って反応速度速度も増加したが、アルコールでは密度増大によって反応速度は減少した。これは、溶媒によって反応機構が異なることを示している。したがって、ジベンジエーテルのようなエーテル類の分解反応における超音波照射効果は溶媒によって異なることが期待できる。そこで、マイクロチップホーンを用いた高温高圧超音波反応装置を製作した。反応装置本体については研究所附属機械工場において製作した。装置作成上で問題となったのは、ホーンの高圧反応容器内への挿入法およびシール方法である。ここでは、oーリングを使用したシール法を適用した。この装置の性能を確認するために、はじめに超臨界CO_2を溶媒とするCO_2とエチルビニルエーテルとの共重合反応を研究対象として、この反応における超音波照射効果を調べている。この実験が終了後、超臨界水中での分解反応への超音波照射効果を調べる。
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