研究概要 |
半導体微粒子懸濁光触媒反応器を設計するための情報を提供することを目的として,二酸化チタン微粒子を懸濁した光反応器を用い,反応器内照度およびNADHの光酸化反応速度について検討した。その結果,次のことが明らかになった。 1.二酸化チタンを懸濁した角型光反応器内の照度分布を光プローブを用いて測定したところ,二酸化チタン濃度が希薄な場合には照度も緩やかに減少するが,この濃度が濃厚な場合には入射面近傍で反射・散乱により光量が増大することが明らかになった。 2.本研究で提案した3次元6光束モデルによって二酸化チタンを懸濁した角型光反応器内の照度分布を推算することが可能であることがわかった。 3.DPOFDPO化学光量計によって求めた内部照射型光反応器内の平均照度は,二酸化チタンを懸濁することによって緩やかに減少し,ある濃度以上で急激に現象することがわかった。また,拡散球プローブによって求めたこの光反応器の環状部分の照度は,入射面近傍での照度が二酸化チタン濃度の増大ととも に急激に増大し,その後減少することが確認できた。 4.二酸化チタンを懸濁した角形反応器を用いてNADHの光分解反応速度を測定したところ,反応速度は触媒濃度と反応物濃度との相対的な濃度比によって変化することが明らかになった。また,結晶構造の異なるルチル型の二酸化チタンを添加したところ,これによる光吸収により反応速度を減少させることがわかった。 なお,微粒子懸濁光反応器内の反応特性を明らかにするためには,触媒濃度と反応器内の平均照度および反応物濃度が複雑に関与しており,今後この点についてさらに検討を加えたいと考えている。
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