研究概要 |
本研究では,無声放電・沿面コロナ放電を用いたCVD反応を応用し,超微粒子層の焼結によるセラミック分離膜合成に関して実験的に検討を行い,以下の知見を得た。 1)超微粒子層の焼結特性は,1次粒子径,堆積層厚みおよび構造により影響される。1次粒子径としては約0.05μm以下であれば,セラミックスのバルク融点よりも約500℃以下の温度での焼結により,分離膜構造が得られる。 2)無声放電および沿面コロナ放電を用いると,有機珪素化合物等を原料として,有機基を含んだセラミックス超微粒子を気相から直接合成することが可能である。 3)分離膜の孔径は,生成1次粒子径を小さくするにつれて小さくなる。このためには,原料濃度を小さくする必要があるが,実用的な成膜には原料濃度として,0.02〜0.2%程度が適している。 4)交流気体放電反応で形成される超微粒子層構造は,直流電場印加による静電気的捕集の場合と類似しており,放電ギャップが小さい場合には,直流電場なしでも成膜に有効な堆積層構造を得ることが可能である。 5)分離膜構造を得るための焼結条件としては,10〜40℃/min. の等速昇温で,バルク融点から500℃程度以下の温度での焼結が適している。 6)焼結の際のガス雰囲気は得られる膜構造に大きな影響を与えない。 7)2種類以上の粒子が混在する微粒子堆積層でも,1次粒子径があまり違わない場合には,焼結により複合セラミック分離膜構造が得られる。
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