研究概要 |
種々の香料及びテルペン系のアルデヒド,ケトンと種々の含フッ素ブロモエステルとのReformatsky反応,Olah試薬などとの反応を行って多数の含フッ素テルペン系化合物を合成し,その構造を決定した。またこれらの化合物から新しい誘導体を合成した。なお,グラム陽性菌,かびなどに対する抗菌性も検討した。おもな研究成果は以下の通りである。 (1)Olah試薬との反応 香料として用いられる種々のテルペン系カルボニル化合物とトリフルオロメチルトリメチルシランの反応で,相当するトリフルオロ化合物を得た。例えばβ-ヨノンからはス-トリフルオロメチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オールを72%の収率で得た。またペンタフルオロエチルトリメチルシランとの反応からは,相当するペンタフルオロ化合物を多数合成した。なお,ス-トリフルオロ-1-フリル=エチルアセタートを酵素リパーゼMYで加水分解して光学活性な(-)-2-トリフルオロ-1-フリル=エタノールを得ることができた。 (2)Reformatsky反応 種々の香料及びテルペン系アルデヒドとCF_2BrCOOEtの反応により,相当するα,α-ジフルオロ-β-ヒドロキシエステルを得,ついでSwern酸化することにより,2,2-ジフルオロ-3-オキソエステルを合成した。なお興味あることに、メチル=2-(ブロモメチル)アクリレイトとトリフルオロアセトアルデヒドの反応でα-トリフルオロメチル-α-メチレン-r-ブチロラクトンが生成した。 (3)抗菌テスト 合成した含フッ素化合物について,グラム陽性菌,かび,酵母などに対する抗菌テストを試みたが,顕著な抗菌性は認められなかった。
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