研究概要 |
研究成果の概要は以下の通りである。 1.アミノ酸合成に多用されるアミノ型Homer-Witting試薬を用いた反応においてケトカルボン酸が副生することに着目し、その生成条件を積極的に改良すれば、糖ウロソン酸類の新規な合成法が確立出来ると考え、検討を行った。その結果、糖鎖末端に存在する3-デオキシ-_D-マンノ-2-オクツロソン酸(KDO)、3-デオキシ-_D-グリセロ-_D-ガラクト-2-ノヌロソン酸(KDN)、及び5-アセトアミド-3,5-ジデオキシ-D-デオキシ-_D-グリセロ-_D-ガラクト-2-ノヌロソン酸(N-アセチルノイラミン酸、NANA)誘導体を初め、それらのアナログである3-デオキシ-_D-アラビノ-2-ヘプツロソン酸、及び3-デオキシ-_D-グルコ-2-オクツロソン酸などの系統的な合成を達成し、本手法の有用性を明らかにした。またその際、上記試薬のアミノ基の保護基(ベンジルオキシカルボニル又はt-ブトキシカルボニル)を必要に応じて換えることが出来ることから、幅広い適用範囲を持つ一般性の高い方法であることをも明らかにした。 2.上記知見を応用し、KDNアナログである5位のみ遊離な5-epi-KDNの新規合成について検討を行い、目的物の誘導体を得るとともに、その5位のSN2反応により5位アナログ、とりわけ糖鎖間相互作用の分子レベルでの微視的解明を行う上で有用な研究道具になると考えられる、安定同位体標識シアル酸合成への道筋を付けることが出来た。
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