研究概要 |
分子認識能を有する有機アルミニウム化合物を固定化ルイス酸反応剤として用いる流通系合成手段を確立することを目的として,以下の研究成果が得られた。 1.分子認識能を有する有機アルミニウム反応剤を用いる流通系合成反応へ適用可能な新規合成反応の開発 (1)エポキシ化合物の転位を経由するチシュチェンコ反応 分子認識能を有するモノメチルアルミニウム化合物を触媒とするアルキル置換スチレンオキシド誘導体の転位を経由するチシュチェンコ反応を見出した。 (2)アルデヒド類のチシュチェンコ反応 分子認識能を有するモノメチルアルミニウム化合物に,ある種のエポキシ化合物,例えばtrans-スチルベンオキシド等を同量添加することにより,アルデヒド類のチシュチェンコ反応の良好な触媒になることを見出した。 (3)エポキシアルデヒドを原料とする合成反応の開発 エポキシアルデヒド化合物の分子内転位-チシュチェンコ反応によるラクトン合成について検討したところ,目的のラクトンを合成することはできなかった。しかし,β,γ-エポキシアルデヒドからは良好な収率で不飽和ギ酸エステルが生成した。 2.分子認識能を有する固定化有機アルミニウム化合物を用いる流通系合成反応の基礎的研究 ガラスカラム,送液ンプ,UV検出器,フラクションコレクタから構成される流通系合成反応システムを作製し,分子認識能を有する高分子有機アルミニウム化合物を用いる流通系条件でのアルキル置換スチレンオキシド誘導体の転位を経由するチシュチェンコ反応を室温下で実施したところ,副反応が進行して低い選択性であった。
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