研究概要 |
我々は最近、遷移金属錯体触媒を用いるジインの環化付加共重合という新しい高分子合成反応を開発した。この新重合反応の適用範囲を拡げ多彩な新重合体を合成することは重要である。本研究ではジインの二つの三重結合をつなぐメチレン鎖中にエーテル官能基を有するエーテルジインRC≡C(CH_2)_1O(CH_2)_mO(CH_2)_1C≡CRとイソシアナ-トの共重合による新しいポリ(2-ピリドン)の合成を検討した。 五種のエーテルジインR=Me,1=2,m=4(1a),R=Et,1=2,m=4(1b),R=n-Pr,1=2,m=4(1c),R=Me,1=1,m=4(1e),R=Et,1=1,m=2(1f)とn-オクチルイソシアナ-ト(2a)の共重合をNi(COD)_2-2P(c-C_6H_<11>)_3触媒を用いて行った。1b/2a共重合で反応因子を検討した。重合温度が可溶性ポリ(2-ピリドン)の生成に大きく影響した。70℃ではジインの三量化による枝分かれポリ(2-ピリドン)生成のため不溶性共重合体や難溶性共重合体の生成がみられた。2a/1b=5のモノマー組成を用い50℃で反応を行うことにより分子量2万弱(PDI=1.7)の可溶性ポリ(2-ピリドン)が得られた。同様の条件でエーテルジイン1a,1c-eが2aと共重合し分子量5000-18000(PDI=1.5-2.6)の可溶性ポリ(2-ピリドン)を生成した。 共重合体の構造決定のため共重合体の繰り返し単位である2-ピリドン環のモデル化合物となる2a二分子と1b一分子からなるコオリゴマーを合成した。コオリゴマーと共重合体の^<13>CNMRスペクトルは類似した2-ピリドン環の吸収を示しポリ(2-ピリドン)生成を確かめることができた。他のコオリゴマーとしてジイン各1,2,3分子を含む環状コオリゴマーが単離された。これは2-ピリドン環を有する大環状化合物の合成に発展する可能性を示し興味ある結果である。
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