研究概要 |
Gellan Gum(ゲル研究会共通試料)水溶液についてはイオン交換カラムによりCa^<2+>≪0.01%とした試料,これにCa^<2+>を添加し0.5%としたもの(以上試料3)およびイオン交換カラムによりNa→Kとしたもの(試料4)について、本年度の科研費で購入したPC-9821Xn/C9Wと、昨年度設置したAD-変換ボードにより,またヒアルロン酸水溶液では昨年度・本年度の科研費により備えた画像処理装置により,23.040秒までの極低周波領域での測定が可能となり,Na型では分子量200万100万の二種類で,また濃度は1.0,0.75,0.5,0.25%で,またイオン交換カラムを用いK型として分子量100万濃度0.75%でそれぞれ測定を行った。(I-a)Gellan Gumでは画像の高速処理が可能となったたので,η,Gについて45〜10℃の範囲で温度依存性を求めそれぞれの濃度に固有の温度で±0.5℃の温度幅でηが二桁変化することを見い出した。これはHelix-Coil転移であろうと推定している(I-b)ゲル化にたいするCa^<2+>イオンの役割について,従来Ca^<2+>による鎖間の橋渡しのモデルが種々提案されていたが,<R_Gと〈M_w〉およびGellan Gumの元素分析の結果から,架橋点の大きさ自体がかなり小さいものであり,且つ架橋点間に存在しうるCa^<2+>の数がきわめて限られたものになることが判った。これから,溶解状態でのGellan Gum分子の新しいモデルを提案した(II)ヒアルロン酸では上記の分子量で全濃度範囲についてほぼ単一のVoigt-modelで全挙動が表わせること,Cole-Cole plotでは指数β=0.725とすることですなわちわずかな遅延時間の分布を考慮すれば,同様に単一の円弧で表わせることが示された。K-型では同一の濃度,分子量のNa-型に比し,Gはあまり変化がなくηがほぼ二桁近く減少することが見い出された。これはNaイオンが水素結合助長的に作用するのにたいしKイオンは水素結合破壊型であることに反応しているものと思われる。
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