研究概要 |
船舶や海洋施設の初期計画段階において主要目と要求機能から,施設,機器等の配置を決定する際には,配置要素間の近接度などの設計要因を明確に計量化できずに意思決定する場合がしばしばある。このため,配置を一つのデザインに集約して行く過程には設計者の経験や勘に拠るところが多く,安全性や保全性も含め総合的にバランスのとれた配置候補案を作成し,いかに評価するかが重要である。 このためには,配置要素の有機的結合則に関するアルゴリズムを探究し,配置設計の支援および評価のための手段を確立する必要がある。 本研究では配置要素やその機能に関連する情報を従来の配置図面より抽出し,施設間の近接の程度を親近度として主成分分析法により統計処理して算定した。さらに配置を評価するための評価関数を親近度と距離の関数として定めて,この評価関数を最小にする配置を最適な配置とした。最適化の手法としてSUMT法と遺伝的アルゴリズムの手法を用いてこの手法の妥当性を確認した。さらに,計算から得られる配置のための数値情報をCADデータに変換し,このデータを処理して,平面図や立体的に表現することにより設計支援ツールとしてシステム化できることを確認した。 開発された手法の適用例として船舶の居住区の居住施設の配置問題を扱い手法の適用性を確認した。また,このアルゴリズムがこの問題に限らず,海洋施設のレイアウトの計画,施設の機器の配置,室内の設備や機器の配置など,配置に関わる設計支援に応用できることを確認した。
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