研究概要 |
曲げ加工の自動化・効率化システムを,(a)加熱による鋼板変形を推定するための簡易解析法の開発,(b)目的の形状に変形させるための最適加熱経路の簡易推定の開発,(c)求めた加熱経路を加熱するためのロボット制御システムの開発,(c)のロボット制御による自動加熱,自動形状計測システムにわけて構築した。今回の研究では,(a)の変形量推定のための簡易解析を開発し,解析結果と加熱による板の変形量の比較を複数加熱経路(交差加熱経路も含む)の場合について行い,(c)のロボット制御,板形状の計測システムの改良に重点を置いた。 (c)ロボット制御,板形状の計測システムの改良 パーソナルコンピュータに制御されたマイクロロボットによる自動加熱システムが完成していたが,一本の加熱経路にしか対応できなかった。今回,試験片をロボット稼働領域に釣り下げることにより,任意の箇所の加熱が可能なシステムに改良した。形状計測では非接触型レーザー変位計の電圧を直接動ひずみ計で計測することにより,計測時間を1/10にした。また,温度計測では熱電対をカップル変換器を通して動ひずみ計で計測することにより,加熱表面,裏面の最高温度を正確に計測できるようになった。これにより,加熱曲げ試験を行った。 (a)加熱による鋼板変形を推定するための簡易解析法の開発 加熱による鋼板の変形を簡易的に解析するために,熱伝導解析と塑性変形解析を省略し,加熱変形の原理の基づき,表面の膨張量と裏面の膨張量の差を強制変位として,鋼板に作用させて三次元の弾性解析を行った。また,熱伝導解析により,考慮すべき加熱裏面の幅,強制変位を与える深さを検討した。この簡易解析法により,加熱曲げ試験の角変形とほぼ同等の角変形をすることが確認された。
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